まどか「さやかちゃんがお好み焼きの魔女になっちゃった」

ほむら「え?」


まどか「だからね。さやかちゃんが”お好み焼きの魔女”になっちゃったんだよ」


ほむら「どういうことなの…」


まどか「今杏子ちゃんが戦ってるの。ほむらちゃんも力を貸して!」


ほむら「まどかの頼みなら断るわけにはいかないけど…(お好み焼きの魔女?ナニソレ?)」


まどか「こっちだよ!」


−−−−−−−−


まどか「ここが魔女の結界だよ!」


ほむら「”鉄板焼き美樹亭”って書いてあるけど…」


まどか「早く早く!」


ほむら「ちょ、ちょっと待って…!」


−−−−−−−−−


結界の中


ほむら「…なんか油臭いわね」


まどか「お好み焼きの魔女の結界だからね!ウェヒヒ!」


ほむら「あちこちに炭?が落ちてるわね。なにかしら…」


まどか「それは焼くのに失敗した”焦げ”だよ!」


ほむら「あぁ、そうなの…随分詳しいのね…」


まどか「さっきまでここに居たからね、ティヒヒwwwww」


ほむら「ここに居…え!?」


まどか「さぁ着いた!ここが最深部だよ」ガラガラ


ほむら(なんで引き戸なの…)


ジュージュー ジュージュー


ワイワイガヤガヤ


ジュージュー ジュージュー ジュージュー


ワイワイガヤガヤ ワイワイガヤガヤ


ほむら「なにこれ…」


ほむら「使い魔達があちこちで鉄板を囲んでご飯食べてる…」


まどか「お好み焼きだよっ!」


ほむら「それは見ればわかるけど」


まどか「杏子ちゃんはどこかなーっと…あ!居た!おーい、杏子ちゃーん!」


杏子「ん?おう、まどか。待ってたぜ!ちゃんとほむらを連れてきたみたいだな!」モグモグ


ほむら「おもいっきり食っとる!」


まどか「おいしそうに焼けてるねー。私にもちょうだい!」


杏子「よし、それじゃそっち座れ。ほむら、お前も食うだろ?」モグモグ


ほむら「ちょっと待って」


杏子「なんだぁ?お好み焼きは嫌いか?まどかの言ってたことと違うな」モグモグ


まどか「えっ?そうなの、ほむらちゃん?」モグモグ


ほむら「いや、そうじゃなくて…」


杏子「もんじゃ焼きの方が好きか?待ってろ。店員呼ぶから」


杏子「おーい、店員さー…」


ほむら「人の話を聞け!!!!!」


杏子「なんだぁ?」


まどか「どうしたの。ほむらちゃん…」モグモグ


ほむら「まどか。まずは食べるのをやめてちょうだい」両肩ガシッ


まどか「えー?」モグモグ


ほむら「この状況を説明して」


まどか「だからさっき言ったとおりだよ。さやかちゃんがお好み焼きの魔女になっちゃったんだよ」モグモグ


ほむら「その美樹さやかはどこなの!!あと食べるのやめて!」


まどか「あそこ」モグモグ


ほむら「…?」


お好み焼きの魔女「ギャアアアアアアアアアアアアアアアア」


ほむら「両手にヘラ持ってる…」


杏子「お好み焼きの魔女だからな」モグモグ


ほむら「冷静に食べるの再開しないでよ。なんで美樹さやかはああなったの」


まどか「話せば長くなるんだけど…」モグモグ


ほむら「長くてもいいわ。私が納得いくまで話してちょうだい」


まどか「学校帰りにさやかちゃんと杏子ちゃんとお好み焼き食べに行ったんだよね。
    そしたらさやかちゃん、お好み焼きひっくり返すの失敗しちゃってさw
    『あたしって、ほんとバカ…』って言いながらソウルジェムが真っ黒に濁ってしまったのでした」


ほむら「さやかってほんとバカ!!!!!!!そんなに話長くないし!あとなんで私も誘ってくれなかったの!?」


まどか「ごめんね、ほむらちゃん。今度はさやかちゃんと杏子ちゃんと4人で行こうね」モグモグ


杏子「おいまどか、さやかのやつは魔女になっちまったからもう無理だぞ」モグモグ


まどか「あっ、そうか。ごめんねさやかちゃんwwwwウェヒヒwwwwww」モグモグ


お好み焼きの魔女「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア」


ほむら「なんなのコレ…」


ほむら「…と、とにかく。あなたたちもこんなところで悠長にお好み焼き食べてないで、魔女をやっつけることに専念して」


杏子「そうは言ってもなぁ」モグモグ


まどか「なかなか難しいんだよ、これが」モグモグ


ほむら「普通に攻撃すればいいだけの話じゃないの?」


杏子「あいつを倒すにはさ。お好み焼きをうまくひっくり返してやる必要があるんだ」モグモグ


ほむら「ひっくり返す…え?」


まどか「オコノミヤ・モン・テッパンドルフ。その性質は反転。在りし日の焼加減を夢見ながら店ごと移動する魔女。
    混ぜる運命はマヨネーズだけをかけてもう未来へは転がらない。もう何も注文できない。
    もう何も焼けることなどない。今はただ手下達の団欒を邪魔する存在を許さない」モグモグ


ほむら「解説ありがとうまどか。なんなのこの魔女」


杏子「そんなわけで、あたし達はここで足止め食ってんのさ」モグモグ


まどか「違うよ杏子ちゃん。今はお好み焼き食べてるんだよwwwwウェヒヒwwwwww」モグモグ


杏子「こいつは一本取られたぜ!はははっ!」


ほむら「ああああああああああああああぁぁあぁぁぁぁぁぁっぁあぁぁあぁっっっ!!!!!!!!」


ほむら(なにこれ…ナニコレ!?今までのどんなループにもこんな魔女は存在しなかった!
    ていうか、美樹さやか!ひっくり返すの失敗したぐらいで魔女化しないでよ!どんだけメンタル弱いの!)


まどか「というわけで、ほむらちゃん。お好み焼き焼くの手伝って?」


杏子「お前ならこういうの得意だろ」


ほむら「それで連れてこられたのね。でも、そうはいかないわ…!美樹さやか、悪いけど…倒す!」ジャキッ


杏子「あっ、バカ!」


ほむら「この時限爆弾で…って、え!?鉄板が飛んできた!?」


杏子「あぶねぇっ!」ガキィン!


まどか「ほむらちゃん大丈夫!?」モグモグ


ほむら「杏子、ありがとう。まどかは台詞と行動が合ってないわよ…」


まどか「えー?」モグモグ


ほむら「鉄板が攻撃方法…?」


杏子「タダの鉄板じゃねぇぜ。200度に熱された、お好み焼きがちょうど良い加減で焼ける鉄板だ」


杏子「喰らったら…タダじゃ済まねぇぜ…」


ほむら「…確かに恐ろしい攻撃ね。痛いのは慣れてるけど熱いのはさすがに…」


ほむら「仕方ないわね。焼いてあげるわ」ファサッ


まどか「待ってました!」


ほむら「メニューがある…普通にお好み焼き屋か!」


まどか「えぇー?今更だよぉー」


使い魔「ゴチュウモンオウカガイシャーッス」


ほむら「”ミックスラズベリー”、”チーズ&チーズ”、”かぼちゃとりんご”…マトモなお好み焼きはないのかしら…」


まどか「私はメロンだよ!」


ほむら「あ、じゃあ同じので…って、え?」


使い魔「メロンッスネーアザース」スタスタ


ほむら「ヘンなの頼んでしまった…」ガックリ


使い魔「コチラメロンニナリヤーッス」ゴトッ


ほむら「パフェかなんかじゃないのコレ…」


まどか「頑張って、ほむらちゃん!」モグモグ


ほむら「お好み焼き焼くのに頑張るもなにもないと思うんだけど…」マゼマゼ


杏子「お好み焼きをナメちゃいけねぇぜ?」モグモグ


ほむら「まぁ、いいわ…(さっさと焼いて倒してしまいたい…)」ジュージュー


まどか「片面焼けたっぽいよ!さぁ、ほむらちゃん!」


ほむら「それでは…行きます…!」シャキッ


杏子「なんかキャラ違くねーか」


ほむら「はあああぁぁぁぁぁぁっ!!!」クルッ


ベチャッ


まどか「あ」


杏子「あ」


ほむら「」


ほむら「あたしって…ほんとバカ…」ズズズズ


まどか「あああああっ!ほむらちゃんのソウルジェムが微妙に濁り始めてる!」


杏子「落ち着けほむら!まだ一枚目だ!」


ほむら「”まだ一枚目”って…あなたたちは何枚焼いてるの…」


まどか「かれこれ50はいってるかなぁ?」


杏子「難しいからな」


ほむら「そんな…この先どれだけの絶望を積み重ねればいいの…!」


ほむら「ていうかこのメロンってそもそもひっくり返すのに適してないわよね!?なんでメロン丸ごと一個入ってるのよ!おかしいでしょ!」


まどか「それはもうそういうメニューと割り切るしか」


ほむら「割り切れないわよ!欠陥だらけだわ!」


杏子「まぁまぁ。そんなら別のメニューで試してみればいいじゃねーか」


ほむら「ぐっ…!」


−−−−−−−−−


ラズベリー


ほむら「ラズベリーがポロポロ落ちてひっくり返せない!」



かぼちゃとりんご


ほむら「また丸ごと一個入ってる!」




チーズ&チーズ


ほむら「ひっくり返す瞬間にチーズが裂ける!」


まどか「私が裂けちゃう!」



うんまい棒


ほむら「これお前のだろ!」


杏子「バレたかwwwwww」


−−−−−−−−−


ほむら「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…」


まどか「やっぱりほむらちゃんでも駄目かぁ…」


杏子「こいつならできそうだと思ったんだけどな」


ほむら「どうして…何度やっても、お好み焼きがひっくり返せない…!私のしてきたことは無駄だったとでも言うの…!?」


QB「お困りのようだね」ペタペタ


まどか「あっ、キュゥべえ!」


ほむら「何の用かしら…」


QB「君達にアドバイスをしようと思ってさ」


杏子「アドバイスだぁ?」


QB「お好み焼き、上手く焼きたいんだろう?」


まどか「もしかして、知ってるの!?」


QB「僕達の文明の前ではお好み焼きを綺麗にひっくり返すことなど、造作もないことだからね」


まどか「お、教えて!教えてキュゥべえ!」ユサユサ


QQQQBBBB「「「「ゆゆゆゆ揺らさないででででよよよよよまどかかかかか」」」」


QB「暁美ほむら。君はもう気付いているんじゃないかな。たった一人の力では到底及ばない作業だということに」


ほむら「………っ!」


杏子「なにっ…?」


QB「お好み焼きをひっくり返すということは、それはとても大変な作業だ。それを一人で行うなんて無謀すぎる。
  どうして人類は一人でひっくり返そうとするんだい?わけがわからないよ」


まどか「ど、どういうこと…?」


QB「僕達の星ではお好み焼きは二人でひっくり返しているのさ。おっと。この場合は二匹と言ったほうがいいかな」


杏子「なん…だと…!?」


ほむら「やはり…!薄々と感づいてはいたけど…!」


まどか「ほむらちゃん!?」


ほむら「途中から絶対おかしいとは思っていたのよ。元々お好み焼きなんて粉と具材の塊…!
    それを空中で反転させ、綺麗に着地させるなんて至難の業!それを単独で挑むなんて無茶な話だわ!」


まどか「そ、それじゃあ…」


QB「さすが暁美ほむら。察しが良いね。これは勝ち目のない戦いだったのさ」


まどか「そんな…」


杏子「なんてこった…!それじゃああたし達は…!」


QB「ただし、暁美ほむら。君にはその可能性がある」


まどか「えっ?」


QB「君には鹿目まどかという最高の友達がいるじゃないか。まどかの力を借りさえすれば、それも夢ではない」


ほむら「………」


QB「さあ、暁美ほむら。まどかに助けを求めるといい!」


ほむら「まどか…」


まどか「ほむらちゃん…」


ほむら「本当なら、あなたの力を借りたくはなかった。あなたに迷惑をかけたくなかった。
    でも、許されるなら…まどか、私と一緒に、お好み焼きをひっくり返してくれる?」


まどか「う、うん。わ、私でよければ…」


−−−−−−−−−


杏子「片面、焼けたぜ」


まどか「さぁ、ほむらちゃん。一緒に…」


まどか「怖くない?」


ほむら「ううん、大丈夫。もう私は、ためらったりしない…!」


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ほむら「………う、うぅん…ここは…?」


まどか「…あ、あれ?私達…?」


杏子「結界の外…みたいだな…」


さやか「うぅーん…」


まどか「あっ!さやかちゃん!」


さやか「ア、アレ?あたしどうしたの…?」


まどか「よかったぁー!元に戻れたんだね!」


さやか「あ、そうか…あたし…」


杏子「バカ野郎!心配させやがって!」


さやか「あ、ハハ…ご、ごめんねw」


ほむら「………」


さやか「転校生も、ありがとね」


ほむら「礼には及ばないわ」ファサッ


杏子「もうすっかり夜だぜ」


まどか「あ!どうしよう!パパに怒られちゃう!」


さやか「あぁ、そんならあたしも一緒に行くよ。こうなったのあたしのせいだから…」


杏子「じゃああたしも行く!ほむらも来るだろ?」


ほむら「…そうね。一緒にまどかのお父様に謝りに行きましょう」


杏子「よーっし、それじゃ4人で行こうぜ!」


ワイワイ キャイキャイ


モーヤダー サヤカチャンタラー


−−−−−−−−−


QB「…ということがあったんだけど」


マミ「誘ってよ!!!!」


おわる。