杏子「中二病だな、こりゃ」
まどか「杏子ちゃーん!」
杏子「まどかおせーぞ。魔女が逃げちまう」
まどか「杏子ちゃんが早いんだよー。…あれ?他のみんなは?」
杏子「まだ来てない。…ったく、あいつら」
まどか「今度の魔女はそんなに強いの?」
杏子「ワルプルギスの夜ほどではないにしろ、万全を期すに越したことはない。まっ、5人でやれば楽勝だよ」
まどか「そっか、よかった。ティヒヒw」
まどか「あっ、3人とも来たみたいだよ。おーい!」
さやか「くっ…!左目が疼く…!『奴』の封印が弱まっているのか!」
ほむら「魔王様(サタン)との交信はうまくいったわ…。あとは生贄を捧げるだけ…」
マミ「いくわよ!最終奥義!ファイナリティ・ブラスト!」
まどか「」
まどか「なにこれーーーーーーーー!!!!!!」
杏子「……………」
まどか「さやかちゃん!眼帯と包帯なんかして怪我でもしたの!?大丈夫!?」
さやか「えぇいっ、触るなっ!」バシッ
まどか「あぁっ」
さやか「あぐっ!…日に日に封印が弱まってきているのが分かる。このままでは…」
まどか「さやかちゃんどうしちゃったの!?怪我なら回復魔法があるんだから治せるでしょ!?」
さやか「この傷は…『奴』にやられたんだ…!痛みを忘れないよう、『奴』との決着をつけるまでは治さない!」
まどか「ターンXみたいなこと言わないでよ!」
杏子「さっき『奴』は封印したって言ってたよな…決着ついてるんじゃないのか」
まどか「ほむらちゃんもそんな真っ黒いローブなんか着て!」
ほむら「魔王様への生贄は…術者の髪の毛、トカゲのシッポ、蛇、クモ、カラスの羽、あとは…」
まどか「そのジュースはなに?」
ほむら「これは血…。新鮮な人間の血が一番いいのだけれど…」ゴクゴク
まどか「どう見てもトマトジュースだよ…」
ほむら「日差しが強いわね…。身体に堪えるわ」
まどか「今日曇りなんだけど」
杏子「黒魔術師と吸血鬼がごっちゃになってるじゃねーか。こいつもキャラ固まってねーぞ」
まどか「マミさん!…は」
マミ「やっぱり最終奥義!より、究極奥義!の方がいいかしら…」
まどか「なんかいつもと変わらない気がする」
杏子「同感」
まどか「どうしよう杏子ちゃん!みんなおかしくなっちゃったよ!」
杏子「こりゃあ…最近流行りの中二病だな」
まどか「中二病?」
杏子「思春期のヤツにありがちな行動だよ。自分には特別な力がある、周りとは違う、そう思い込んじまうんだ」
まどか「そ、それからどうなっちゃうの!?」
杏子「どうもこうもないよ。本人が精神的にオトナになって飽きるまでやらせてやるしかないね」
まどか「そんな…」
杏子「まぁ、あたしらには害はないから安心しな。ただ、相当『イタイ』けど」
まどか「あぁ、それはなんとなく分かる…」
まどか「でもどうしよう…このままじゃみんな連れてけないよ」
杏子「しゃーない、こいつらは置いてくか…足手まといが一番困るしな」
さやか「やめろぉ…私が真の力を解放すればこの世界は大変なことになるんだぞ…!」
ほむら「魔王様…お待ちしておりました。下賎なる人間どもを根絶やしにしましょう」
マミ「究極奥義!シャイニング・フィンガー!」
まどか「そうだね。ごめんね、さやかちゃん、ほむらちゃん、マミさん…」
まどか「…ん?」
杏子「どうした?」
まどか「これは…魔女の口付け!」
杏子「なんだって!」
まどか「ほら見て!ほむらちゃんの首!」
杏子「…なるほど。こいつらがこんなんなっちまったのは魔女のせいか」
まどか「もしかして、今回倒す魔女がそれかな」
杏子「だろうな。魔力の痕跡と口付けに残った魔力が一致する…」
まどか「だったらその魔女を倒せば!」
杏子「元に戻るな。よし、行くか」
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【魔女の結界内】
まどか「な、なんか今までと違って随分ヘンな結界だね…」
杏子「中二病の塊だなこりゃ…」
まどか「…あっ、扉があるよ」
杏子「『ヴァルハラ』って書いてある…北欧神話もカバー済みか…」
まどか「は、入るよ…」
まどか「……………」
杏子「こいつか…!」
中二病の魔女「ギイィィェエエエエエェェエエェエェェエエェェ!!!!」
杏子「まどか!サポートしろ!」バッ
まどか「うん!」
杏子「はぁッ!」
中二病の魔女「グォォォオオオォォォオォオォオ!」ガギィン!
杏子「くっ、結構硬いな!」
まどか「杏子ちゃん!大丈夫!?」
杏子「あたしの心配なんかすんなっての。これぐらい平気さ」
・
・
・
杏子「はぁ…はぁ…」
まどか「……………」
杏子「まどか、まだイケるか?」
まどか「…うん」
杏子(…ちくしょう、思ったより手強いな。このままやってたんじゃあたし達もジリ貧だ)
杏子(なにか弱点でもあればいいんだが…)
杏子(中二病の魔女…か)
杏子「…ッ!!」
まどか「…どうしたの?杏子ちゃん」
杏子「まどか、少しの間だけ時間稼げるか?もしかしたらだけど…通用する手段があるかもしれない」
まどか「ホント?」
杏子「あぁ、コイツが中二病の魔女だってことをすっかり忘れてたぜ」
まどか「分かった…!頑張ってみるよ…!」バッ
杏子「頼んだぜ…」
杏子(さて、と)
まどか「はっ!たぁ!」バシュッ
杏子「……………」
まどか「やぁ!」バシュッバシュッ
杏子「……………」
中二病の魔女「グオアァァァアアァァァアァァァァ!!!!」
まどか「…ぐぅっ!」
杏子「…待たせたな、まどか!下がってろ!」
まどか「うん!」
杏子「久し振りに使うぜ…!『幻惑の魔法』を…!」
杏子「よーく見とけよ!中二病の魔女!」
杏子「すぅーーーーーー…」
杏子「現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実現実!!!!!!!!!!!!」
中二病の魔女「」
中二病の魔女「ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」ゴロゴロゴロゴロゴロ
まどか「………はぇ?」
杏子「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
中二病の魔女「ハズカシイイイイイイイイィィィィィィィィ!!!!!!!!!」ゴロゴロゴロゴロゴロ
まどか「」
まどか「…ど、どうしたのいったい?」
杏子「なぁに、ちょっと現実の幻を見せてやっただけさ」
まどか「現実の…幻…?」
杏子「まぁ、簡単に言うとだな。中二病のヤツに改めて自分がやっている行動を見せてやると、恥ずかしさのあまり悶絶するんだよ」
杏子「あいつが昔やってたと思われる中二病行動を見せ付けてやったのさ」
まどか「昔やってた…って、どうやって?」
杏子「ここに来るまでの結界に色々あったろ?あれがヒントになったよ」
まどか「あぁ!ロングコートとか置いてあったし、精霊がどうのとかも書いてあったね」
杏子「そういうこと」
まどか「杏子ちゃん中二病に詳しいんだね。なんでも分かっちゃう!」
杏子「ギクッ!」
杏子「…ま、まぁ、漫画とかによく描いてあるからな。べ、別に知りたくもないんだけど、嫌でも覚えちまうんだよ」
まどか「そうなんだ。私、あんまり漫画とか読まないからなぁ」
杏子「そ、そっか。漫画読んだほうがいいぞ」
杏子(………言えない。あたしも昔『小人さんが見える』とかやってたなんて言えない!)
まどか「あっ!魔女が消えていくよ!」
杏子「恥ずかしくなりすぎて消滅することを選んだのか…潔いな」
ドサッ
まどか「あれ?なにこれ?本?」
杏子「なんか書いてあるな…なになに…?マビノギオ…」
まどか「結界が消滅していく!」
杏子「あれっ、本も消えちまったぞ。なんの本だったんだいったい…」
まどか「倒した…のかな?」
杏子「多分、な。魔力はもう感じないし…」
まどか「それじゃ急いでみんなのところに戻ろう!」
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ほむら「う、うーん…」
さやか「…あ、あれ?あたし…」
まどか「よかった!元に戻ったんだね!」
ほむら「…!?なにこのローブ!」
さやか「うえぇ!?なんであたし眼帯と包帯してんの!?」
杏子「お前ら魔女に取り憑かれてたんだぞ」
さやか「えぇっ!?そうなの!?」
ほむら「なんてこと…魔法少女である私がとんだ失態を…」
まどか「でももう大丈夫だよ!魔女はやっつけたからね!ウェヒヒw」
さやか「まどかぁ!ごめんねぇ!」ダキッ
ほむら「ありがとう、まどか。杏子。手間をかけさせてしまったわね」
杏子「気にすんなって。わりと簡単だったしな」
まどか「そうだ、マミさんは?」
マミ「…やっぱりしっくりこないわねぇ。エクスプロージョン・ノヴァ!」
まどか「…あ、あれ?」
マミ「エターナル・フォース・ブリザード!…あれ?なんかいいかも?」
まどか「元に戻って…ないよ?」
杏子「…ていうか、最初っからマミだけは魔女に取り憑かれてなかったんじゃないのか?」
まどか「ま、まさか…w」
マミ「…あら?みんなごめんね。技名考えてたら夢中になっちゃって…」
マミ「でもおかげでいい技名が浮かんだわ!さぁ、魔女を退治しに行きましょう!」
まどか「」
杏子「」
マミ「あら?どうしたの?」
マミ「え?」
おわり。